サトヤマミライカイギ成果発表会開催
令和6年2月11日(日)14時~18時30分にかけて、サトヤマミライカイギのプロジェクト成果報告会が開催されました。サトヤマミライカイギとは、一般社団法人サトヤマカイギが地域創生に資する挑戦に取り組む若者のコミュニティであり、全国の中学生から社会人に至る若者約100名が参加しています。会場となったTKP品川カンファレンスセンターには、全国のミライカイギメンバー約40名と、その若者の活動をサポートする社会人約40名の総勢80名近い参加者が集い、それぞれの活動成果について情報共有を図ると共に交流を図りました。
AKATSUKI事業では、このサトヤマミライカイギのコミュニティから選抜された6名が、サトヤマミライカイギメンバーを取り込んだプロジェクトを発足し、経済・環境・社会の調和を図る持続可能な地域づくりを通じて自己成長を図る活動を行っています。石川県白山市、静岡県焼津市、島根県隠岐郡海士町をメインフィールドとし、そのほか、長野県飯綱町や北海道札幌市といったサブフィールドを含む地域で繰り広げられた様々な活動と、自身の成長について、プロジェクトリーダーそれぞれが成果について発表しました。
プロジェクトリーダーの成長
選抜された6名のプロジェクトリーダーの取り組みや成長の一部については、過去のブログについても参照していただきたいと思いますが、成果報告会の中で発表された特徴的な内容についてここでご紹介します。
福田葉雪さんは、全国の何か新しいことに取り組みたいと思っている若者にサトヤマミライカイギに参画してもらい、そのコミュニティ運営を通じて得られたことや自身の成長について語ってくれました。コロナ禍において人との繋がりをもつ機会が得られず挑戦への一歩を踏み出せずにいた若者と、地域での楽しいことをまずはやってみるといった小さな成功体験を生み出す「場づくり」を何度も繰り返し実施したリアルな体験談や、自分自身にとってそれらの場づくりが思った以上に様々な人に対して気を配る取組であったこと。さらには、イベントを通じてつながったコミュニティと地域での若者の挑戦の接続部分に課題を感じたことについて実体験に基づいて語ってくれました。ポスターセッションの場では、仲間の挑戦のサポートを繰り返すことで、結果的に自身の挑戦に対する意欲も喚起され次年度海外留学を決意したことを語ってくれました。
蔀綾人さんは、高校生時代からのサトヤマカイギとの出会いを通じて、これまでの自身の周りの環境には存在しないさまざまな人物との出会いや意見交換をする機会を提供してもらったことにより、多様な価値観・世界観を目の当たりにし、これまでの自分の中にあった当たり前を次々と墓石、新しい世界へ飛び込む機会を得ることができたと述べ、そのことが自身の成長の基軸になっており、新しい挑戦の場の拡大につながっているといった感想を強く述べていました。ポスターセッションの場では、「サトヤマミライカイギのメンバーの中にはIT以外にもまちづくりやコミュニティづくり、ファッションといった様々な活動に取り組んでいる方がいます。また、メンターでもある建築家の方や、アート関連のビジネスで取り組んでいる方もいます。大人若者関係なくいろいろな方々との接点を通じてさらに教養を深め、自身の挑戦の領域を拡大させていきたい」と熱く語っていました。
「教える場」ではなく「自ら主体的に学ぶ場」の提供による本人の気づきと成長
サトヤマカイギにおける若者を成長させる仕組みの最大の特徴は大人が「教えない」ということにあるかもしれません。認知科学の分野では、人の認知はアフォーダンス(外部環境との接点)に大きく依存するとされています。つまり人の成長には自身にとってこれまでと異なる環境に身を置くことが重要になるといえます。時代が大きく変化する中において、これまでのビジネスの在り方や、課題解決のプロセスはもはや通用しなくなっています。しかしながら、多くの大人たちは、時代が変化しているといいながら、自身の変化を拒んでしまいがちです。過去の成功体験に基づいた若者への助言はもはや意味をなさないかもしれません。新しい社会を切り開く若者は、自らが自身の感度を高め、主体的に教養を修得し、そして挑戦する。これを繰り返し実践していくほか成長の術はないと思っています。そのために、私たちは若者が挑戦しやすい「場」をどのように地方都市に実装するのか?また、そのコミュニティを影でどのように支えていくのか?そのための仕組みをより強固に構築しなければならないと実感しています。
今回のプロジェクトリーダーを務めた学生の皆さんは、良い意味で大人をうまく活用していると実感しました。たった1年間ではあったものの、自身が新しい外部の環境に飛び込み、仲間を集い、そしてプロジェクトとして楽しく挑戦している姿は、私たち大人にとって大きな気づきを与える存在であると同時に思いました。
今後、一般社団法人サトヤマカイギは、さらにサトヤマミライカイギコミュニティの規模を拡大すると共に、若者の挑戦の場としてのより魅力的な地方都市の開拓を継続してまいります。このような人材育成を通じた地域創生の取り組みをバックアップしてくださった、関係者の皆様に感謝すると共に、今後も継続的に学生の成長をサポートしていけるよう努力してまいります。