
地域デジタル人材育成の重要性と可能性
近年、社会のデジタル化が加速する中で、地方地域においてもデジタル技術を活用した地域課題の解決や新たな産業の創出が求められています。しかし、こうしたデジタル人材はどこでも不足しており、人材育成が喫緊の課題となっています。デジタル人材の育成は、地域の課題解決や、現業の生産性向上などの価値創出にもつながること、また、地域における新たな仕事になるのではとも期待しており、地域社会の持続的な発展を支える上で極めて重要な取り組みと考えています。
デジタル化は未だ発展途上のフィールドであり、技術だけでなく、それを受け入れる現場側のことも含めて、何がどのように効果的なのか、試行錯誤しながら模索していく必要があります。特に、地域の現場におけるデジタル化を推進するためには、デジタル技術の活用方法の理解に加えて、地域特有の課題に合わせて応用できる人材が不可欠です。そのため、地域デジタル人材には、自らが課題を発見し、解決策を検討し、実行していくという能力が重要になります。このような人材が地域の未踏的人材として、地域におけるあらたな仕事や価値を産み出すと期待しています。
プログラムの概要と特徴
「山口未来変革デジタル人材発掘・育成プログラム」は、このような課題や目的意識から、今年度に開始した人材育成プログラムです。本プログラムは、単なるICTスキル習得にとどまらず、地域課題の解決や技術面での掘り下げといった、デジタル化のために自律的に行動して貢献できる人材育成を目指しています。
具体的には、5ヶ月間のハッカソン形式でプログラムを実施し、参加者は自由な内容をテーマにして、ICTを活用したサービスやプロダクトの開発に取り組みます。特徴としては、以下の点が挙げられます。
主体的な課題発見と解決: 参加者自身が地域課題を発見し、解決策を考案することで、主体的に問題解決に取り組む経験を得ます。
実践的な開発経験: ハッカソン形式での開発を通して、プロトタイプ作成、試行錯誤、改善といった実践的な開発経験を積むことができます。
プレゼンテーションとレビュー: 参加者は定期的にプロジェクトの進捗状況や成果を発表します。専門家や他の参加者からのフィードバックによって、作品の改良を続けます。作ったものを他人に伝える力や、協創の力を身につけます。
専門家によるサポート: ICT開発や課題解決のエキスパートがメンターとして参加者をサポートすることで、活動や開発を支援します。
資金援助: 開発のための資金援助も実施しています。
公式Webページ:https://yamaguchi-henkaku.jp/
学生有志による紹介Webページ:https://yamaguchi-henkaku.jp/supporters/introduction/
プログラムの現状と活動の様子

2024年9月にスタートした本プログラムには、山口県内の学生や社会人18名が採択されて、活動をしています。参加者は現在、個人またはチームで、観光の振興、保育業務の支援、高齢者の見守り、地域活動の支援システムなど、多様なテーマに取り組んでいます。
まだ何も形も実績もない初年度ですが、熱心な方々に参加いただき、活動を実施しています。毎月の発表会を目標にして、問題意識やアイデアを磨き、考えたことを反映したプロトタイプを試作してもらい、レビューによってよりよくする、というプロセスを繰り返しています。
最初は初対面だった参加者も、作っているものを元にして、お互いのことをことを知り、いまでは仲良くなりました。写真は12月に実施した発表会の様子です。発表をするだけでなく、発表中には全員でチャット上でコメントを記載したり、発表後には発表者を取り囲んで議論をしたりと、全員参加型のコミュニケーションやレビューも実施しています。
全員参加のレビューにて、他人に伝えること、他人から意見をもらうこと、
もらった意見を自分の判断で選択して取り入れること、を大事にしています。こうやって、自分だけではできない協創の方法を身につけてもらっています。
現在はまだ活動中ですが、2月8日(土)には山口大学工学部にて発表会も実施します。
ぜひこちらへのご参加もどうぞ!
https://bit.ly/20250208-yamahen6
今後の展望と期待
本プログラムは、地域社会を担うデジタル人材育成に向けた、山口での新たな挑戦です。今後、プログラムを通して育成された人材が、地域課題の解決や新たな価値創造に貢献し、山口地域の活性化を牽引していくことを期待しています。
このプログラムには、他地域などの同種プログラムの修了生たちにも指導補助や講演などで協力をしてもらっています。育成人材がさらに育成をしていく連鎖であったり、また地域間での教え合いなどの関係性や人材交流など、育成だけで終わらず、その後に残る関係性やネットワーキングにもつなげていければと考えています。
この記事を読まれたみなさまからも、関心ありましたら、いつでもご連絡もどうぞよろしくお願いします。
