事業の概要
本事業においてはIPAの未踏事業の理念を継承し、その地方版としての北海道の問題意識を含めた人材発掘・育成を行うことを目的とする。IPA未踏事業の根幹となるプロジェクトマネージャ(PM)によるクリエータの選定と育成を基本とし、ブースト会議や8合目会議、DEMO DAYなどの大枠を未踏事業と同様に実施する。プロジェクトマネージャ(PM)は北海道にゆかりのある未踏卒業生や元未踏PMに依頼し、IPA未踏事業の理念を体現する。本事業では北海道にゆかりのある若い未踏卒業生をメンターとして招き、クリエータの開発の支援を行う。北海道内の各大学・高専内にリエゾン兼チューターとなる教員を配置し、応募から開発、成果発表までの支援を依頼する。さらに、北海道内で活躍する企業や起業家との交流の機会を設け、将来のキャリア設計の幅広い選択肢を提供する。これら一連の取り組みは本事業だけに留まらず、北海道でのIT人材のネットワークとして、IPA未踏事業の最大の功績ともいえるコミュニティ作りを北海道でも実現し、北海道のIT産業に貢献できるのではないかと考えている。
北海道内の各大学・高専、中学・高校においてIT関連の活動が活発化することにより、自然とIT関連の就職が増え、さらに起業する人材も増えていくことが考えられる。地域においてIT人材が増えていくことで、地域の企業のDX化も進んでいくであろう。農林水産業を生業とする家の子どもが本事業を通して世界に通じるITに関する知識を得て、家業のDX化に取り組む可能性もある。本事業は副次的効果を地域経済の活性化まで含めて検討を進める。また、当事業を通じて若手人材が斬新なアイデアでプロジェクトを進める機会を得ることで、小さいかもしれないがイノベーションの連鎖、推進がされることも考えられる。
また、日本で最も面積が大きな都道府県としての北海道は、数多くの中学・高校がバラバラに点在していることを意味しており、インターネット時代においても情報の断絶が起きている。中高生にとっては、インターネットは交流の手段である一方で、それはローカルに閉じた交流の手段でしかなく、それ以外の部分での情報のインプットが重要となる。本事業においては中高生への接続として、北海道内ラジオ局での番組制作を検討している。ラジオ番組を通して、中高生に向けてIT人材の発掘・育成に関する情報だけでなく、全国の支援プログラムの広報などを行い、積極的な活動を促していく。この結果、本事業だけでなく全国レベルの情報資源を提供することで、中高生のITへの興味関心の向上を図ることを目的としている。
本事業に期待される効果
- IT人材の発掘と育成
本事業を通じて、若いITクリエータが斬新なアイデアでプロジェクトを進め、新たな技術やソリューションを生み出すことが期待される。これにより、北海道内におけるIT人材の質と量が向上し、地域のIT産業全体が活性化することが期待される。 - イノベーションの促進
採択されたプロジェクトが成功裏に終わることで、新たな技術やサービスが生まれ、地域や業界全体のイノベーションを促進することが期待される。これにより、北海道のIT競争力が向上し、経済発展に寄与することができるところまで続けたい。 - ITコミュニティの形成
本事業に参加するクリエータやメンター、PMなどが互いに刺激を受け合い、共同で問題解決や技術開発を行うことで、北海道内のIT人材が結束し、新たなコミュニティが形成されることが期待される。これにより、地域の情報共有や協力体制が強化され、持続的な人材育成の基盤を構築することができる。 - 地域経済の活性化
本事業により育成されたIT人材が地域企業で働くことで、企業のDX化が進み、業績が向上することが期待される。また、新たな起業家が増えることで、地域経済が活性化し、雇用創出にも繋がるだろうし、それを目指して事業を行う。 - 中高生へのIT教育の普及
ラジオ番組やウェブサイトを通じて、中高生がITに関する情報を得やすくなり、興味関心が高まることが期待される。これにより、将来のIT人材の発掘・育成にも寄与し、長期的な地域のIT産業発展につなげていく。 - 成果物の多様性
本事業では、多様性を考慮した採択プロジェクトの選定を行う。一つの地域や特定のテーマに絞らず、今後の北海道のITクリエータ輩出に繋がるような審査を実施する。これにより、多様な成果物が生まれ、それぞれの分野において新たな価値が創出されることを期待している。 - 情報共有とネットワーキングの促進
本事業を通じて、IT人材や関係者同士が交流する機会が増えることで、情報共有やネットワーキングが促進されることが期待される。これにより、新たな協力関係やビジネスチャンスが生まれることを期待している。 - 他地域との連携強化
本事業が成功を収めることで、他地域との連携が強化され、全国規模のコンペなどで上位入賞する若いIT人材が発掘・育成されることが期待される。これにより、全国的なIT産業の発展に貢献することができる。 - 北海道のIT産業のブランディング
本事業を通じて、北海道のIT産業が全国的に認知され、ブランディングが強化されることが期待される。これにより、地域の魅力が向上し、北海道が多様なIT人材や企業が集まりやすい地域に成長していくことを期待している。
総じて、「北海道ITクリエータ発掘・育成事業(新雪プログラム)」は、IT人材の発掘・育成、地域経済の活性化、IT産業のイノベーション促進、地域課題解決など、多岐にわたる効果や成果物が期待される事業である。これらの取り組みにより、北海道のIT産業が発展し、地域全体が持続的に成長し、地域全体の活力が向上することが期待される。また、本事業が他地域へのモデルケースとなり、全国的にIT人材育成や地域課題解決の取り組みが広がることも期待できる。